環境にやさしいサッカークラブの新ホーム計画

研究員コラム

新型コロナウイルス感染症が日本で流行してから、4年近く経過した。コロナ禍をきっかけに、世界的に環境問題への意識がより高まり、施設づくりにおいても「環境にやさしい施設」をめざす傾向が一段と顕著になっているように思う。

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少し前のデータだが、2019年に世界グリーンビルディング協会が公開したレポートによると、世界の炭素排出量の約39%が建築・建設産業関連によるものであり、その内訳は28%がエアコンや電気使用などのビル運用関連、残り11%が資材や施工関連であった。こうした環境負荷を抑えるため、建築資材の選定から施工方法、エネルギーや水資源の有効活用まで、さまざまなアプローチが開発・実践されている。

特に公共建築や大型商業・文化・スポーツなど、規模の大きな施設は、環境に配慮した施設づくりを押し出す傾向が増している。なかでも、国連や国際サッカー連盟(FIFA)に「世界一エコなサッカークラブ」と認定されるほど、環境にやさしい取り組みを積極的に実施し評価されている、イギリスのフォレストグリーン・ローヴァーズFC新しいウィンドウで開きます(FGR)による「世界で最も二酸化炭素排出量の少ない」新ホームは注目されている。

同クラブが開発を進めている「エコ・パーク」はイングランド南西部グロスターシャー州の高速道路近くに位置し、5,000席の全木製スタジアムや複数のトレーニング施設などから構成されている。使用するエネルギーの80%以上を自家発電するという。芝は化学肥料不使用、販売する食べ物はビーガンなど、既に行っている取り組みも継続する予定だ。また、屋外では植物を増やし水辺を復活させ、敷地内の生物多様性を約12%向上させる目標を掲げている。

さらに、カーボンゼロ経済をめざすグリーンテクノロジー事業者の誘致をめざし、新ホーム内にビジネスパークも整備する。約3万8,000㎡のオフィススペースと約18,000㎡の工業団地を構築することで、地域に年間約1億5千万ポンドをもたらし、最大5,000人の雇用を創出する見込みだ。まだ詳細は不明だが、ホームを中心に据えたエコなまちづくりが進められているようだ。

日本国内でも、「国立競技場」や「有明体操競技場」などの東京オリンピック2020用の施設をはじめとして、木材を使用した大型スポーツ関連施設が増えている。ごみ削減や緑化推進など環境問題を意識したアクションは既に各施設で定着しているように思うし、今後エコ・パークのような、「負荷を減らす」だけでなく、生態系への配慮や地域経済への貢献など、環境配慮を核とした、より総合的な課題解決をめざす施設ができるかもしれない。

国際文化観光研究室 久保はるか